夜学生 献呈署名入 / 杉山平一 [35257]
1943 ( 昭和18年 ) 初版・カバー・横光利一宛毛筆署名入 毛筆の楷書のため鑑定が困難だが、該書とは別の署名本に付いていた送り封筒の署名がこの楷書で書かれていたため、真筆と思われる。『夜学生』の署名本は大別すると楷書の献呈署名入(「杉」の字の旁が左下がり)と、ペン書の直筆詩署名入(「杉」の字の旁が右下がり)の二種類ある。よく知られている杉山平一の筆跡は後者だが、これは後年になって入れた署名と思われる(蔵書印を消した跡の上に入れられた直筆詩署名入本が確認されていることから、少なくとも後年になって入れた詩入の署名本があるのは確かである。また戦前の書簡で左下がりの杉の字の署名も確認している。)。杉山にとって横光は思い入れのある人物のようで、『定本横光利一全集』第三巻月報で、杉山は以下のように回想している。 [「横光利一の記憶」 一度、私は横光利一氏にお会いしたことがある。/横光利一、 その名前ほど、そのころ文學に關心ある若者にとって輝やかしいものはなかった。/話の内容を、きくどころでなく、ひたすら恐縮してしまっていた。 勿論、私の名前などおぼえておられなかった筈である。/まもなく、 私は関西に帰り、工場に勤めたが、昭和十八年に、 詩集「夜學生」というのを作ったので、その一冊を横光利一氏にお供えするような気持でお送りした。/その横光利一氏から、思いがけなく手紙を貰ったのだから、私は、文字通り飛び上った。きみの詩集を机の上に置いておくと、何故か妻がもって行って讀むらしいという文面の終りに、 「菜の花の莖めでたけれ 夜學生」という俳句まで添えてあった。 その手紙を、私は何度拜誦したかもわからない。 そして、ただひとり胸にしまいつづけていた。そのうれしさを傳えようにも、仲間も友人も、つぎつぎ戦場へ出て行く大戦争の眞最中になっていた。] なお、本書冒頭に収められている詩は『機械』である。 少ヤケ カバ少キズ 良好 第一藝文社 A5判 第一詩集 900部(杉山平一全詩集より) (目録番号:6-8)
【著者】杉山平一
【書名フリ】ヤガクセイ
【著者名フリ】スギヤマヘイイチ
【元発行年】1943 ( 昭和18年 )
【内容一部】「機械」 古代の羊飼ひが夜空に散亂する星々を蒐めて巨大な星座と傅説を組み立てゝ行つたやうに いま分解された百千のねぢ釘と部品が噛み合ひ組み合はされ 巨大な機械にまで結晶するのを見るとき 僕は僕の苛だち錯亂せる感情の片々が一つの希望にまで建築されゆくのを感ずる
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